戸建賃貸を始めるには、それなりの自己資金を用意し、融資を受けることが必要です。融資を受ける時の注意事項を記事にしました。
融資の相談は、どの金融機関に行けばいいの?
まずは「日本政策金融公庫」一本です。口座があっても通常、民間銀行は、事業実績の無い法人には、貸しません。
融資の手順はどうするの?
(1)借入申込書
日本政策金融公庫のホームページから「借入申込書」をダウンロードして手書きで必要事項を記入しましょう。注意点としてご返済金の支払い口座は、ネット銀行は対応していない場合がありますので、口座は地元の銀行もしくは、信用金庫、信用組合で作っておきましょう。
(2)企業概要書
次に「企業概要書」を作ります。これはエクセルのファイルが「日本政策金融公庫」のホームページからダウンロードできますので、これに記入をしていきます。特に難しい点は、無いと思います。
特に不動産の場合は、他の業種に比べて細かく事業計画を見られるようです。そこで、「月別収支計画書」「設備計画書」は、所定のフォーマットを使わず、「事業計画書」の中に詳細に記載した方が良いと思います、
事業計画書はどう書けば良いの?
(1)創業の理念をしっかりと書く必要がある
何のためにこの会社は創業したのか、あなたの強い思いを最初に記載することが必要です。そしてなぜあなたは、その事業ができるのか、他のコンペティターへの優位性をアピールします。ここにあなたの熱い思いが書かれていなければ審査担当者を動かすことは出来ません。
(2)審査担当者は、「あなた」を見ている
あなたがこの事業を完遂するに足る人物か値踏みをしているのです。そのためには、代表者の履歴も重要です。私は、銀行員時代の経歴を事細かに書いた業務経歴書を添付しました。
(3)その事業を取り巻く外的環境の分析も重要
私は、このコロナショックの時期で、不動産事業者が大量にコロナ対応融資を申請しているさなか、あえて創業する意味はあるのかと聞かれることが想定出来ました。そこで、「過密都市である東京ではソーシャルディスタンスが十分に取れないこと」「ビデオ会議、リモートワークが定着しつつあること」「子供の教育ですら、ビデオを利用したものに移行しつつあること」これらから、東京から、地方へ移住を考える人々がいるはずであるということをアピールしました。またその根拠として不動産業者数社から確かに都内や神奈川から物件の問い合わせが来ているとの情報を記載しました。
(4)将来への発展性もアピールする
「自社の事業領域」を定款の事業を元に、詳細に、かつ将来の実施する可能性のある事業まで記載しました。私は、地元の業者と連携し、自分の物件に住んでいただく方に様々なコンサルティングサービスを行い、生活のサポートをネット経由で行っていくことをアピールしました。また、地元業者へのコンサルティングも実施していきます。
(5)ビジネスモデルの図示
ビジネスモデルも大事です。顧客から、自社の協力会社までどのように連携しながら、収益を上げていくか図示しました。できるだけ簡潔にビジネスモデルを書くことが出来なければ、事業は回りません。自分の頭の整理のためにも図示は重要です。
(6)収支計画
私は、10年間の収支計画を作りました。なぜその数字になるかを明確にしながら、エクセルで収支を計算していきます。不動産賃貸の場合は、建物が減価償却が出来ますが、決算ではないので、基本はキャッシュフローを計算すれば良いと思います。思った以上に借入金の元金返済は多いので、返済期間、据置期間はここで十分に検討します。
(7)参考資料
私は、冨山和彦さん(IGPI代表取締役CEO)の著書である「コロナショックサバイバル」の中から、グローバルからローカルへの人の流れが今後起こるという部分をコピーし、重要な点をマーキングして添付しました。
更に、賃料参考資料として、アットホームのサイトで出ている同規模の家の賃料を十件程度添付しました。それらより割安に賃料を設定しているとアピールするためです。
物件の資料は何をつけるの?
(1)物件一覧表
先ずは、今回購入する物件の一覧を作ります。1件の場合でも作った方が良いと思います。記載する事項は、「土地・建物の面積」「建築日」「不動産会社」「予定賃貸額」「予定利回り」「土地・建物の評価額」「購入金額」「諸費用」「リフォーム代」などです。必要に応じ細かい項目を追加し、融資希望金額および自己資金を明確にします。
(2)物件ごとの詳細
物件の写真とともに、リフォームの方針を記載します。
(3) 固定資産評価証明書
購入不動産の評価のために必要です。不動産会社に依頼し入手しましょう。「固定資産税・都市計画税納税通知書」でも代用できます。
(4)ゼンリンの地図
物件の詳細な場所を地図上に示します。これも不動産会社ならもっていると思います。なければGoogleマップでもかまわないと思いますが、有料でもネットでゼンリンのホームページから取る方が良いと思います。
(5)公図・登記簿謄本
これも不動産屋に依頼します。ただ今では、「登記情報提供サービス」で閲覧だけなら335円でPDFのダウンロードが出来ますので、これを添付しても良いと思います。
(6)リフォームの見積書
工務店や、外壁塗装の見積を添付します。できるだけ詳細な見積にしましょう。何々一式というような見積は、自分もリフォーム価格が適正価格でできたか分からなくなります。
(7)物件のマイソク
物件の間取りや販売価格が載っているエビデンスとして添付しておきます。
その他注意すること
(1)コピーを取っておくこと
必ず、全部のコピーを取っておいて下さい。日本政策金融公庫で全額融資が出ない場合もあります。その場合は、商工会議所に助けを求めることが必要になる場合があります。また、保証協会の創業資金も併用する可能性もあります。コピーのためには、A3までコピー出来る複合機が必要です。またコピー枚数も多いので、オートドキュメントフィーダー(auto document feeder)がついている機種が良いでしょう。私はブラザーの複合機を使っていますが、コピーも早く印字も綺麗なのでお勧めです。
(2)融資書類には表紙をつけること
しっかりと表紙をつけましょう。どうしても書類が厚めになりますし、綴じるために穴を開けると重要なところに穴が開いてしまう可能性があります。審査担当者も、コピーをとるにも大変です。穴を開けずに済むバインダーを利用することをお勧めします。私は、情熱を示すため、派手なオレンジ色のバインダーを使いました。これで融資が通りやすくなるわけではありませんが、気持ちの問題です。
さあ、経済的自立を得るための第一歩です。気合を入れて融資を受けましょう!
<追記>
経済的自立のためにこちらの資料をお読みいただければ幸いです。